南宮大社の刀剣を知る
名工・三条宗近
Master craftsman
平安時代の刀工、三条宗近。かつての山城国の三条に住んでいたことから、三条宗近と呼ばれるようになります。京都三条にて活躍したとされる刀工一派の三条派の中で、10世紀末ごろに刀を造り始めたといいます。国宝として有名なのは徳川将軍家に伝わる「三日月宗近」があります。
南宮大社所蔵「刀 銘三条」
Tachi inscription "Sanjyo"
三条宗近の作品で現存する刀は、日本に五振りしかないという貴重な刀剣です。
その中で、南宮大社に奉納されている太刀は、細微な小乱れの刃紋を持ち大きく反りの入った名刀。長さ2尺5寸8分5厘、反り1寸5厘、元幅9分、約78.2㎝。
国指定重要文化財に指定されており、宝物殿は毎年文化の日(11月3日)にのみ一般公開されております。
※宝物殿は毎月1日、土日祝日(元旦除く)に通常展示を行っております。通常展示では三条をはじめ、刀剣類の展示はございません。
南宮大社所蔵「太刀銘康光」
Tachi inscription "Yasumitsu"
備前国長船康光の作。長船派は現在の岡山県瀬戸内市を拠点として活躍した刀工の流派で、鎌倉中期の光忠を祖として、長光、景光、兼光と続き、康光は室町初期の刀工です。いわゆる応永備前の代表工といわれております。
応永5年(1398)土岐美濃守が南宮大社に奉納されたものと伝えられております。
長さ2尺5寸8分、1寸3分8厘、重ね8分(2.4㎝)、反り高く、身幅広く、重ねが一段と厚く通常の3倍ほどもあり、ずっしりと重い。その実用向きとは考えられない尋常ならざる太刀姿などから、奉納用として作成されたと考えられております。地はよく詰み、刃も華やかで美しい太刀であります。
国指定重要文化財で、こちらも毎年文化の日(11月3日)に一般公開されております。
宝物殿は毎月1日、土日祝日(元旦除く)に通常展示を行っております。通常展示では三条をはじめ、刀剣類の展示はございません。
その他奉納物「鉾」
Votive offering "Hoko"
鉾 無銘
元暦(1184~85)前後、大和千手院派の流れを汲む刀工の作とされる古代鎗(やり)。見た目は現代で言う槍に見えますが、この時代に槍は存在しないため鉾(ほこ)と呼ばれております。この種の鉾は正倉院以外では見られないものであります。社伝によると、儀式用のものであったと考えられております。
・長さ:24㎝