十一月 金山大祭

奉行三人が鋼を打つ、金物・刃物の鍛錬式

November

金属の神をまつる南宮大社ならではの特別なお祭りです。通称、「鞴(ふいご)祭り」とも呼ばれ、古くから伝わる刃物の鍛錬式が行われます。全国から金属にまつわる業者が参拝に訪れ、当日は大変な賑わいをみせます。

野鍛冶の鍛錬式、金物の神に願う

この祭りは御祭神が、府中の地から現在の南宮山の麓の地へ移った日に由来する鎮座祭です。その日は社伝によれば、11月9日にあたり、8日に行う金山大祭は前夜祭、あるいは神迎えの神事と考えられています。

鍛錬式は高舞殿の上で行われ、神職のほか烏帽子に直垂姿の野鍛冶(奉行という)、楽人などがそろい、清めのお祓いのあと宮司が火打石で点火する所作を行います。炉は前もって鞴(ふいご)で火がおこしてあり、炉からオレンジ色に焼けた鋼を取り出して鉄床にのせ、その鋼を奉行三人が「トンテンカン、トンテンカン」と槌音も高く鍛錬します。約三十分後、多数の参拝者が見守るなかで完成した小刀を神職が受け取り神前に奉納されます。その間、高舞殿では楽人による舞楽「陵王舞」や雅楽が奉奏されます。

鍛冶による鍛錬式には、普段目にかかることのない珍しい儀式のため、多くの人が参拝に来られます。

全国の金属業関係者の代表者が、商売繁盛や怪我無く仕事が行えることを祈り、参拝されます。神への祈りを儀式として、昔ながらの鍛錬式を見ることで非常に神聖な気持ちになると代表の方は語られます。